それがプライド
静かな夜のとばり。誰もが寝静まった閑静な住宅街…。
私はふかふかの枕に顔をうずめ、今日一日の疲れを癒すべく深い眠りに落ちようとしていた。
しかし!
突如、路上から発せられた罵声がその静寂を打ち破った!
「ばッかやろうッ!
そんなことしたら
犬の
ウトウトしていた私は、闇夜をつんざくおじさんの罵声で完全に目を覚ました。心臓が一気に鼓動を速めるのがわかる。そして、ガバッと布団から起き上がると、鳴り止まない心臓を押さえながら無い脳みそで思案した。
な、なんだ、なんなんだこんな夜中に。喧嘩か!?酔っ払いか!?今何時だと思ってんだ!?ここは田舎の一軒家じゃないんだぞ!
や、そこじゃない
今突っ込むのはそこじゃない。絶対にそこじゃない。
犬ってなに!?
犬 の 沽 券 っ て 何!?
犬の沽券って―(°□°∩;)―!
しかし、オジサンはそう言い残したまま、二度と言葉を発することはなかった。動揺する私だけを残して、街は再び静寂に包まれる。
オジサンは消えた。
闇夜に消えた。
きっと、犬の沽券を一身に背負って。
(私、寝ぼけてたのかなぁ)