指輪物語
あれは、一日しっかり仕事して、家路につこうと、カバンをかかえたときだった。
カバンを支える手に、なんだか妙な違和感を感じる。なんだろう、なんだか物足りないような・・・。
はっ、ま、ま・さ・か!
と、指に目をやると、
…無い。
指輪が無い!
大事な大事な指輪が無い!!
どこだ、どこでなくした?
っていうか、いつだ、いつから無い?
よく考えろ、よく考えろ自分。
…って、やばい、まったく思い出せない。
こここここれは洒落になりませんぞ。
あの指輪はとても大切なものなのですよ。
「失くしました、てへ♪」
だなんて絶対許されませんよ。
だって
だって、だって、あの指輪は、
私の大事な
大事な大事な
なけなしのお金で買ったんだから!
ちくしょー!
(まあ、大方の予想通り家にあった。)