おばば突進!

ある夜のことである。

疲れきった体を引きずって帰社し、やっとの思いでマンションの前にたどり着いた私。
すると、背後から何やらただならぬ気配がするのだ。
振り向くと、闇にまぎれて小さなおばあさんがじーっと粘りつくような視線でこちらを見ている。

出たぁあ── (゜Д゜;)──!!

と、思ったが、
あ、よかった。足がある。生きてるおばあさんだ。
ほっとして、何事もなかったかのようにマンションの集合エントランスのオートロックを開けた。

ウィ〜ン。
開く自動ドア。

そのとき!!

なんと、おばあさんが、鋭い眼光で自動ドアめがけて猛突進してきたのだ!

うぎゃぁ── (゜Д゜;)──!(←心の声)

驚いた私は必死の思いでマンションの中へ。
「はやく!早くしまっておくれ!」
と死に物狂いで自動ドアに懇願した。

な…中に進入される!マジで怖い!
と、なかばパニックに陥ったそのとき。

「…おい、やめろって」

息子らしき男性がおばあさんを引き止めたのだ。
そのとたん、「あ、だめ?」みたいな顔で引き下がるおばあさん。
二人は何事もなかったように暗闇の先へ消えて行った。


ちくしょぅ。
なんか、驚き損の一人芝居だ(ρ_;)

(どうでもいいけど、おばあさんって小走りだよね。)